金子国俊 歌集 『太占』 不識書院 1981年 うた叢書第一篇
自分にとって大切な本。好きな歌を引こうにも選びすぎてしまうので、今回は三首だけ引用する。
・砂を空けし後水平にもどりゆく空しき底に目は留まりぬ
・スヰッチの紐のありかをさがすとてしばしただよふごとくありたり
・夜のひかり吸ひて厨に生き生きとせる椅子ひとつ呟くごとし
あとがきより
〈歌を作って来て私の得たものは、現実を生きる姿勢の変化である。それは、その前から比べれば、やわらかく、そして強くなっているように思う。私にとって歌は、自分の生を確かなものにする為の、概念を払いのけた借り物ではない目や心で、現実を発見しようとするたたかいであるとも思うのである。〉