『歌人番外列伝 異色歌人逍遥』 塩川治子 短歌研究社(2020年)
あとがきに、〈専門歌人でない人で、他分野で特に名が知られている人々を取り上げている〉〈番外の番外として死刑囚なども入っている〉〈取り上げる人の条件のひとつに歌集を出していること〉と書かれている。
短歌(和歌)のアンソロジーとして、楽しみながら読んだ。
付箋をつけた歌を引用してみる。
・我が夢の一つ一つを負はすべくあまたの生命(いのち)欲しと思へり 鶴見和子
・菊の影大きく映る日の縁に猫がゆめみる人になりしゆめ 片山廣子
・人に打たれひとを打ちえぬ性(さが)もちて父がうからは滅びむとする 片山廣子
・川にゆく路を電車にてよぎるとき夕光(ゆふかげ)敷ける土うつくしき 小林昇
・坂を下る道生のあとをころころと山の小石がついて下るも 石牟礼道子
・歌を詠む妻をめとれる夫の瞳に途惑ひ見ゆれわれやめがたし 石牟礼道子
・「人を人とも思はぬやうな、かたむきの性を、そなたは持てり」とや母。 大熊信行
・かなしきは、発作のごとく、にはかなる願なりけり、本が買ひたし。 大熊信行
・せとものゝひゞわれのごとくほそえだは淋しく白きそらをわかちぬ 宮沢賢治
・なまこ山海ぼうず山のうしろにて薄明穹のくらき水色 宮沢賢治
・うつせみの世は夢なれや桜花咲きては散りぬあはれいつまで 源実朝
・六つのみちをちこち迷ふともがらはわが父ぞかし母ぞかし 道元
・世の中にまことの人やなかるらん限りも見えぬ大空の色 道元