
永田先生はよく「本を読みなさい」と言っておいでだったが、何を読めとまでは言われなかった。自分で考えて、選んで、自分で学ぶ他はない。そんな中めずらしく「あとりはこれを読んでおいた方がいい」と明確に勧められたのがこの本だった。
気になる歌をノートに写しながら読んでいたら、読み始めから1年8か月経っていた。
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『石本隆一全歌集』 短歌研究社(2016)より、以下引用。
・石擲たばぴしりと割れん冬空の青さの下にわがからだあり
・水耕のサフランの芽は青みたり掌にとるこれはひとつのいのち
・ゴムまりを水に漬けむとせしときの抗いに似る眠らむとして
・めぐらせるわが垣のうちこのとしも蟇(ひき)いできたり媚ぶることなく
・風のなか椋鳥収めおえたれば欅の一樹いちはやく闇
・風化せでかなしきものは葬列を守る石獣の跪く列
・渾身の訣れをひとはするものかかなしみは常あとより育つ
・水馬(みずすまし)ひとつ来て搏つ水の膜ふかく撓みておれど破れず
・六千の鶴のねむりを地に見よと冬満月の引きあげらるる
・欠けつれど手振り見えつつ並びゆく踊る埴輪の喜びは何
・目黒不動裏の山辺に落ち葉積みぬくとくありつ昆陽の墓