最近読んでいる本 佐藤弓生歌集『モーヴ色のあめふる』

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佐藤弓生歌集『モーヴ色のあめふる』(書肆侃侃房/2015年)より、好きだなと思った歌を以下引用。

・手で包むこどものあたまあたたかい種がいっぱい詰まってそうな

 ――「あたたかい種」って何て素敵な表現なんだろう。一度読んでしまったらこのイメージを忘れることができない。

・天は傘のやさしさにして傘の内いずこもモーヴ色のあめふる

・ふくらはぎに陽射しひくくふれてくるプラットホームもう脚ばかり

 ――駅という、ひたすら移動する場所の特徴を言い得て妙。

・まんまるな月ほどいては編みなおす手のやさしくてたれか死ぬ秋

・月寝(い)ねしのちの沙漠をなおゆける骨ゆらゆらと王子王女は

・座席からのぞけばのぞきかえされる夏の月夜のみじかい旅に

 ――鉄道の旅と読んだ。さしのぞく月の眼差しがやさしい。短夜、月光をかえす二条のレールの上を揺られてゆく旅。

by konohana-bunko | 2024-07-16 23:02 | 読書雑感

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり