貝寄風や魚養の塚に砂の粒
2007年 02月 14日
奈良の十輪院に行ったのは2年ほど前のこと。ここの敷地の奥まったところに、朝野魚養(なかい)を祀る魚養塚がある。
昔、遣唐使(吉備真備?)と唐の女性との間に子が生まれた。ところが遣唐使は「いずれ子を引き取りに戻るから」と言い残して、日本に帰ってしまった。待てども待てども、夫は戻らない。妻はついに、子に「遣唐使の子」という札をつけて海に流してしまう。子は大きな魚に助けられ、無事日本の父の許にたどり着いた。魚に助けられ(養われ)たことから魚養と呼ばれ、のちに僧となり、空海に書を教えたという。そんな、伝説のような、話。