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読書の記録 霜月

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『天上の花 ―三好達治抄―』  萩原葉子  新潮社
『オトーさんという男』  益田ミリ  光文社
『こつまなんきん』  今東光  角川文庫
『支那童話集 日本児童文庫13』  佐藤春夫  ARS
『おおきなおおきなおいも』  赤羽末吉さく・え  福音館書店
『ふたり』(絵本)  瀬川康男  冨山房
『紙絵と詩 智恵子抄』  伊藤信吉・北川太一・高村規 共編  現代教養文庫528
「大阪人」vol.63 2009.3  特集・続々古本愛  大阪市都市工学情報センター

『天上の花』を粗くまとめてしまうと、ひとりの詩人が、ひとめぼれして執着しつづけた女性に、その作品も人柄もまったく愛されなかったことから起こる悲劇、ということになるだろうか。もっと乱暴に言ってしまえば児童虐待とDVの話である。まあ、「虐待」や「ハラスメント」なんてつい最近普及した概念で、この小説に当てはめるのはどうかとも思うけれど。

『こつまなんきん』はブック・ダイバーさんにて。今東光を読んだのははじめて。主人公お市の向かうところ敵なしっぷりが気持ちいい。現世利益に血眼の河内男というのはいつでもそこいらにいそうで、そこのところも面白かった。

写真は大阪、五條宮。姿のいい木。
by konohana-bunko | 2009-12-03 12:54 | 読書雑感 | Comments(2)

春日権現験記と鹿の母子

11月26日(木)、奈良へ。この日はめずらしく、古本屋さん巡りではなく、まっすぐ春日大社へ。お目当ては「春日権現験記」。
奈良公園、あちらの木もこちらの木もきれいな紅葉。
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いつだったか、国立博物館で、春日若宮おん祭の様子を描いた絵巻物を見たことがある。(あれ、面白かったなァ、あれで歌詠んだりもしたナ)などと思い出したりしていたところへ、NHKの日曜美術館で、「験記」が紹介されたのを観たものだから、気分はすっかり右から左へ話が流れる絵巻モードになってしまったのだった。
日曜美術館で紹介されていたお験記は宮内庁蔵の原本で、東京の国立博物館「皇室の名宝」展に出ていた由。(林哲夫さんがご覧になっています。)今回春日大社で公開されているのは、春日本という江戸時代の写本。
宝物殿はほどよい空き具合。絵巻は20巻も出ている。大盤振る舞いだ!原本でないのが残念といえば残念だが、その分傷みも少なく、絵の具の色も鮮やかで見やすい。
印象に残ったところ、地獄絵。春日の神さまに憑依された橘氏女が、全身からよい香りを放ち、その手足を舐めると甘かったというエピソード。ぶちの犬。衣装の柄。板塀にからまったへちまの花。縁の下で雨宿りをする鹿。あくびをする牛の舌。花が咲き、鳥が飛び交う貴族の家の庭。畳の上にねそべって本を読む貴人の子、木片運びを手伝う大工の子たち。
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絵巻気分のまま、駅へ戻るゆるい下り坂を歩いていたら、鹿の母子がいた。子鹿はお乳をねだって、母鹿のお腹に頭突きを繰り返す。それも、ハンパない勢い、母鹿の後ろ足が宙に浮くくらいの力で。あんなにゴンゴンされて母鹿は痛くないのか……?そもそも、もういい加減乳離れの時期ではないのか。
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こちらは別の母子。母鹿が子鹿の毛づくろいをしてやっていた。
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おん祭の準備も始まっている。

11月中抱えていた歌の原稿にも目処がつき、上京前後のばたばたも落ち着き、ようやく人心地を取り戻す。ナラヒネ補給完了であります。
by konohana-bunko | 2009-12-02 23:01 | 日乗 | Comments(0)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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